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患者さんがIVSに求めるものと術者がIVSに求めるもの,その両者は必ずしも一致するとは限りません.では,我々歯科麻酔科医は何を目指してIVSを行うのか?ここに,私が共感した宮脇卓也先生のお言葉を掲載させていただきたいと思います(LiSA,Vol,No2,130-137,2000).
鎮静法は“健忘法”である
催眠には意識の抑制がみられるが,呼びかけに対する反応などから,意識レベルを鎮静の指標にすることは多い.鎮静は生体防御のための生理的な反射があり,刺激に対しての反応が確保されていることが基本であるため,刺激に対して反応し,意識のある状態が望ましい.
しかし,意識のある状態で,他覚的に精神的緊張がなさそうでも,自覚的には不快を感じていたら,患者にとっては好ましい状態とはいえない.実際,鎮静中であっても意識のある患者は,「気持ちがいい」とは言わない.意識の抑制は鎮静のend pointではない.静脈麻酔薬には意識の抑制だけではなく,健忘(記憶がない)という作用がある.鎮静は,「意識の抑制よりもこの健忘が重要であり,健忘があることが鎮静のend pointである」と筆者は考えている.
意識の抑制は鎮静の一症状である.術中に不快を感じないで,もし感じたとしてもそれを術後記憶していないことこそが,患者にとって有益である.鎮静法は究極的には,“健忘法”ということもできる.