静脈内鎮静法の実際
以下はあるクリニックでの患者さん(杉山様:仮名)と私の会話です。
「杉山さん、こんにちは。今日、麻酔を担当させていただきます中野と申します。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「きのうはよく眠れましたか?」
「じつは、緊張して、あまりよく眠れませんでした。今もドキドキしています」
「そうですね、皆さんそうおっしゃいます。お薬が入ると楽になりますから、心配しないでくださいね。杉山さんは血圧のお薬をお飲みになっているようですが、何年前からですか?」
「確か、3年前からだと思います」
「朝だけですか?それとも、朝夕2回お飲みですか?」
「朝だけです」
「今朝はお飲みになってきましたか?」
「はい、飲んできました」
「普段の血圧はどれくらいか、おわかりですか?」
「130の70くらいかなー。あまり計ったことがないので…よくわかりません」
「わかりました。処置中は自動血圧計で血圧をみていますので、ご安心ください。それと、歯科治療で一番苦手なのは、どんなところですか?痛み止めの麻酔とか、歯を削る音とか…。」
「うーん、全部嫌だけど、しいて言うと…やっぱり、歯を削る時のキーンという音かな。前に歯を削り出した瞬間、意識が遠のくっていうか、貧血になったことがあるんです。しばらく横になっていたら、よくなったんですが…」
「そんな経験をおもちだったんですね。やはり、かなり緊張なさるタイプなんですね。お薬が入って緊張さえとれれば、脳貧血を起こすようなこともありませんから、今日は安心してください。他に心配なことはありますか?何でもお聞きくださいね」
「何もわからないうちに終わりますか?」
「患者さんによって感じ方が違うので一概にはいえませんが、お酒を飲んでほろ酔いのような、うたたねをしているような感じだと思ってください。治療中は普通に会話していても、終わってみると覚えていないという方が多いですね」
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。確認ですが、11時以降は飲んだり食べたりしていませんね」
「はい」
「お薬や食べものでアレルギーはありますか?」
「ありません」
「お帰りは電車ですか?」
「主人と一緒にタクシーで帰ります」
「そうですね、そうしていただくと安心です。では、もう少しこのままお休みください」
「では、いくつかモニターをつけさせていただきますね。椅子を動かしますので、頭を後ろにつけていてください。そのまま横になります。まず、左の腕に血圧計を巻きます。5分おきに自動で計りますので、びっくりしないでください。つぎは、右手の中指にクリップをつけますね。これは呼吸のモニターです。あとは、手首と足首に心電図のシールです」
「いろいろ着けるんですね」
「かえって不安かもしれませんが、安全のためなので、ご了承ください。ちょっと血圧を計ってみましょう」
「いくつですか?」
「148の70ですね。緊張なさっているので少し高めですが、問題ありません。では、点滴をとりましょう。右手を下におろしてブラブラとしてみてください。ゴムを巻きますね。親指を中にして、ギューと握ってください。消毒します。ちょっと冷たいですよ。では、最初だけチクッとします。はい、入りました。手を開いて楽にしてくさい。テープで固定しますので、そのまま動かさないでください。もういいですよ、楽になさってください」
「では、お薬をお入れしますね。点滴から入れますので、お痛みはありません。2、3分すると、まぶたが重くなってきます。眠いようでしたら、そのままお休みください。無理に起きていようとしなくていいですよ。処置中、もしお痛みが出てきたり、気分が悪くなったら、早めにおしえてください。我慢しないでくださいね。では、肩の力を抜いて楽にしていてください」
「杉山さん、お疲れさまでした。終わりましたよ」
「えっ、もう終わったんですか?…半分寝ているような感しでした」
「お痛みはありませんか?ご気分はいかがですか?」
「まだボーッとしていますが、痛みはありません」
「では、このままもうしばらくお休みください」
「杉山さん、お疲れさまでした。スッキリなさいましたか?」
「そうですね。かなりスッキリしてきました」
「ご自分では大丈夫だと思っても、お家に帰って緊張がとれると、また眠くなることがありますので、今日一日はゆっくりお休みくださいね。今日は楽にできましたか?」
「はい、思った以上に楽にできました。ありがとうございました」
「何かあれば、いつでもお手伝いさせていただきますので、いつでも声をかけてください。お大事にどうぞ」
IVS導入のご相談、
講演・執筆のご依頼もお気軽にどうぞ





